リスボンに憧れながら世界の片隅で砂を掴む

本、ポルトガル語学習、海外移住よもやま話。(※在住国はポルトガルではありません。)

海外生活で必要なもの(2)健康。

幸か不幸かWFH(Work From Homeつまり在宅勤務)時代が終わってしまい、記事を書く時間も読書する体力も減ってしまった。通勤は悪である。

だが、通勤の再開により、騒音地獄からは開放された。レオパレス並みの最底の防音レベルを誇る我が集合住宅では、近所の子供のプロレス音が「360度フルサラウンド!ドルビーラボもびっくりの臨場感・立体感!」で止むことなく迫り来るのである。そんな環境下で何ヶ月も仕事を続けていたので、マジで精神に異常を来す5秒前、丑三つ時に五寸釘で藁人形を柱に打ち付け始める寸前のところであった。

冒頭で「幸か不幸か」と書いたが、オフィス出勤に切り替わって良かったのだと思う。仕事に集中できるし、藁人形を日本から輸入する必要もなくなった。家の柱も無事で何よりである。

 

さて、前置きは程々にして、海外生活で必要なもの、第二弾。

それは、『健康』である。

(とても大事な事なので、赤字で書きました。)

ある意味で語学力よりも重要な要素だと思う。語学力は後からでも何とかなるが、健康ばかりはどうにもならない

(語学力ゼロで海外に突撃する愚行を推奨するわけではない。)

 以下三点、懸念される事項を挙げてみる。

 

心の病に注意

慣れない海外での生活は、ストレスの連続。

適応障害鬱病と隣り合わせである。

「海外はこんなに自由!」「毎日楽しく生活しています!」という人もいるが、それは生き残った強者の自慢の声である。戦いに敗れ帰国を余儀なくされた落ち武者の声はあまりにも小さく、中々耳にする機会がない。(「そんな黒歴史思い出したくない。」「敗者だと思われたくない。」という嫌悪感や見栄もあるのかもしれない、大半の人は自分の失敗談など大声で語りたくないだろう。)

日本在住時から心を酷く病んでいる人には、海外移住は勧めない。リスクが高過ぎる。夏目漱石がイギリス留学でどうなったかは有名な話である。

日本で健康に暮らしていても、移住先の水が合わず、さらに過酷な仕事やら何やらで追い詰められて体調を崩すケースもある。それで辛くなって精神科を受診しようにも、言葉の壁、治療費の壁が立ちはだかるのである。

 

恐怖の治療費用

日本のような健康保険システムが無い国で治療を受けた場合、恐ろしい金額を請求される可能性がある。(例:風邪の治療で5万円、痔で一日入院して100万円)

健康保険システムがある国は治療費が低価格な場合もあるが、それでも日本語通訳対応や英語対応が可能な外国人慣れした医療機関にかかろうとした場合、ボッタクリとも言える金額を請求される。

また、例え任意保険に加入していても、場合によっては補償対象外になるので、その請求が我が身に降りかかってくる可能性があるかと思うと気が気でなく、考えれば考えるほど余計に体調が悪くなる。日本の旅行保険を利用する場合、治療費の請求が患者ではなく保険会社にダイレクトに行く事がある……つまり、患者がその場で支払いをする必要がない事があるが、自分で治療費を支払ってから保険会社に請求しなければならなくなった場合のリスクも考えておかなければならない。緊急で入院して高額請求された場合、一括で病院に支払えるのかどうか、等。

日本の「国民皆保険」は、本当に有難いシステムだと思う。

 

医療機関側が外国人に慣れていない場合

これは個人的な体験になるが、旅行中に某所の「開業以来一度も外国人なんか来たことありません」というような医療機関で受診した際、看護師たちが

「わっ、外人だ!」

「同じ黄色人種だし大丈夫でしょ。」

と言っているのを聞いてしまった。スリリングな体験である。

 

また、これは医療機関に問題があるわけではないのだが、現地人と日本人とで薬の効き方に差が出る場合がある。処方される薬が日本と違うので、何か持病がある人は要注意。

 

この状況下なのであまりいないと思うが、これから海外に出る予定がある・移住を計画している人は、とにかく心と体の健康に気をつけて欲しい。

特に私のように、心の臓が飴細工で出来ているように繊細で、海外移住に適さないタイプの人は要注意である。

何回通院し、入院したか……あまりにも多過ぎて、もう覚えていない。(幸い、今はそこそこの健康を保っているのだが。)