リスボンに憧れながら世界の片隅で砂を掴む

本、ポルトガル語学習、海外移住よもやま話。(※在住国はポルトガルではありません。)

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

孤独を詠む、蛸を喰む。シェリーと井伏、月を愉しむ詩。

吹く風が秋めいてきた。そろそろ中秋である。 中秋と言えば月と団子。ウィキペディアで「中秋節」と検索すれば、宋の詩人・蘇軾が中秋の月を宝玉の皿に喩えた詩について書かれている(暮雲收盡溢清寒,銀漢無聲轉玉盤。此生此夜不長好,明月明年何處看。)。…

シーナ・ブラックホール『実存主義者』

わたしはどこに住んでいるの? 月曜日から日曜日のあいだに カラスの眼の網膜の中に わたしは青い風船の下でチクチクする薄膜 いつも、塩はこぼれる。食器棚の影が 床を横切る。 シーナ・ブラックホール『実存主義者』。翻訳は私が行った。 原文は下記Scotti…

木をモノとしか捉えられない人々。

植木らが 打ち棄てられて 夢見るは 赤子の泣き声 青の秋空 (マキシミナ11世) 以前、集合住宅の公共のゴミ捨て場に使用済み便器が投棄されていた事を書いたが、昨晩は観葉植物が捨てられていた。 観葉植物が捨てられていたのは今回が初めてではない。これま…

『世界をこの目で』。対極の人の目を通して外国を見る。

自分とは対極の世界に生きる人が書いた本 黒木亮氏の『世界をこの目で』を、何とか読了した。 「何とか」という副詞がついたのは、文章が酷いとか面白くないとかそういう事が理由ではない、むしろかなり興味深い内容であった。では何が問題だったかと言うと…

ジョージ・オーウェル、美味しい紅茶への熱いこだわり。

「ジョージ・オーウェル」という名前を聞いて、人々は何を思い浮かべるだろうか? 1984?動物農場?スペイン内戦?どれもこれも暗い話ばかりのイギリス人作家? SNSの世界では何とかのひとつ覚えのように『1984』ばかり言及されるのだが、オーウェルが書き残…

おすすめポルトガル音楽(4)シアードへの愛。

あまりグチグチ書くのもジメジメ陰気でそのうちキノコが生えてきそうなブログだと思われそうなので控えたいのだが、10年ぐらいも住んで好きになれなかった国で(小綺麗な集合住宅の廊下に糞便が落ちている国である。好きになる人間がいたら、それはド変態で…

アンドロイドは電気羊の夢を「何語で」見るのか?

毎日詩文とポルトガル語を頭に詰め込み過ぎたせいか仕事のせいかわからないが、フロッピーディスクレベルの低スペック記憶媒体である私の脳が過労気味なので、ガッチリ構成した話はしばらく書けそうにない。故に、今日は語学学習のちょっとした体験談を書こ…

『カモメに飛ぶことを教えた猫』。ルイス・セプルベダ氏よ、永遠に。

この記事を書いている途中で、久々にWikipediaでルイス・セプルベダ氏を検索したところ、「新型コロナウイルス感染により、4月16日死去」との記載があり、呆然としている。 志村けん死去以来の衝撃を受けている。何故、世界はこんなことになってしまったのだ…

有栖川有栖『インド倶楽部の謎』。カレーが食べたくなる本。

有栖川有栖の国名シリーズ『インド倶楽部の謎』を読み終わった。 国名シリーズについて有栖川氏は「エラリー・クイーンに倣って題名に国名を冠したものを有栖川有栖版の国名シリーズと称してきた。」と、あとがきで記しているが、私はエラリー・クイーンを読…

おすすめポルトガル音楽(3)里斯本は幻想的、情緒的、異国的。

前回のポルトガル音楽の記事ではファドとファドの歌い手を紹介したが、今回はバンド音楽を紹介したいと思う。 バンド音楽と言っても、ハードではない(Die!Die!Die!!!などと叫んだりはしない)、聴いているとワクワクしてくる音楽なので、安心してYouTubeで…

海外生活で必要なもの(2)健康。

幸か不幸かWFH(Work From Homeつまり在宅勤務)時代が終わってしまい、記事を書く時間も読書する体力も減ってしまった。通勤は悪である。 だが、通勤の再開により、騒音地獄からは開放された。レオパレス並みの最底の防音レベルを誇る我が集合住宅では、近所…

Twitterを捨てて本を読もう。金言を求める現代人へ。

今回の記事は、Twitter歴約10年の元ツイッター廃人である私が、Twitterをやめようかどうか迷っている人に捧げたい。 書き始めた途端にタイトルから離れるが、まずはペソアについて。 私がポルトガル語を勉強しようと志したきっかけ……それは、フェルナンド・…