リスボンに憧れながら世界の片隅で砂を掴む

本、ポルトガル語学習、海外移住よもやま話。(※在住国はポルトガルではありません。)

欧州ポルトガル語とブラジルポルトガル語、両者対応の文法書。

『必携 ポルトガル語文法総まとめ』(白水社)が日本から届いたので、毎日少しずつ読み進めている。久々に紙の書籍を購入したのでウキウキ気分である。

 

『必携 ポルトガル語文法総まとめ』は、欧州ポルトガルポルトガル語と、ブラジルのポルトガル語両方について書かれた、一粒で二度美味しい(?)文法書である。しかし、ブラジルのポルトガル語まで覚えている余裕が無い者にとってはブラジルについての表記は邪魔になるので、なるべく見ないようにするしかない(読んでしまうと記憶してしまって混乱する)。ブラジルポルトガル語については、いつかブラジル文学に興味を覚える日が来たら役に立つだろう。

 

内容について。名詞、冠詞、形容詞、動詞、話法など諸々の文法項目に加え、数詞や発音まで網羅されており(カタカナで誤魔化さずに国際音声記号を使って解説されている!素晴らしい!)、例文も豊富で使用法に関する記載もコンパクトかつ詳細。痒いところに手が届く、非常に役に立つ一冊である。こんな本が欲しかったと、心の底から思う。

 

著者は市之瀬敦氏。現在上智大学国語学部教授。また、ポルトガルとブラジルからそれぞれ言語学の専門家が執筆に参加している。よくわからない人がふわふわ会話向けに書いたものではない、心から信頼できる文法書である。

 

ただ、非常に素晴らしい本なのだが、難点を一つ挙げるとすれば、当たり前のように知らない文法用語が登場する点である。ポルトガル語を勉強し始めたばかりの人には厳しい。突然「ジェルンディオ」と言われても、イタリア語を勉強したことのない人間は、まずその概念を自分で調べて理解しなければならない。つまり、ある程度の外国語教育を受けたことのある人を対象として書かれている。

また、文法書なので音声CDや音声データは付属していない。この本一冊でポルトガル語の全てをどうにかしようと思うのは無謀である。音声CDやデータのついた学習書と併用するのが良いだろう。


本当は『ポルトガルポルトガル語』(内藤理佳、白水社)が欲しかったのだが、予算が足りず諦めた。だが、『必携 ポルトガル語文法総まとめ』を買って良かったと思う、正に「必携」、机に一冊備えておきたいレベルの良書である。